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摂津(嶋上郡)の式内社/阿久刀神社
大阪府高槻市清福寺
祭神--住吉大神(表筒男命・中筒男命・底筒男命)
                                                                 2009.7.4参詣

 延喜式神名帳(927撰上)に『摂津国嶋上郡 阿久刀(アクト)神社』とある式内社。

 JR高槻駅の北西約1.3km、枚方亀岡線・郡家本郷バス停の東約100mに南面して鎮座し、神社背後(北)は芥川の堤防に接している。
 南側の正面鳥居をくぐり参道を進むと現代風の拝殿に至る。拝殿背後から左右に伸びる白塀玉垣の中に千鳥破風・唐破風を頂く本殿が鎮座する。正面鳥居の左に「式内阿久刀神社除地」なる石碑が立つ(除地-ヨケチ-とは租税免除地)。川沿いの堤防道路からだと、神社の背後から入ることになる
 神社名・アクトは“アクタ=芥”であり、そこから旧地名・芥川に転じた、あるいは芥川にあったからアクトと称したともいう。


阿久刀神社・正面鳥居

同・拝殿

同・本殿

※祭神
 現在の祭神は住吉大神(住吉三神)で、地元では“住吉さん”と呼ぶというが、それは江戸時代以降のことで、
 「この地方の氏神だったものが、再三再四にわたる芥川の氾濫により、治水のため水神河伯を祀る必要に迫られ、江戸初期(中期末の寛政11年1799ともいう)に祭神を変更して住吉三神を祀ることになったのではなかろうか」(式内社調査報告、昭和52年1977)
とあるように、本来の祭神は別神だったと思われる。

 しかし、当社の祭神については
①諏訪大明神::建御名方富命・八坂入姫命--摂陽群談(1701)・名葦探杖(1675)
②羽山戸神と大気都比売との御子・秋比売(阿久斗比売の別名ともいう)--当社旧記(?)・渡会氏神名帳考證(?)
③当村の産土神で、今住吉明神と称す--摂津名所図会(1798)
④住吉三神--大阪府誌(1903)
⑤住吉三神・タケミカヅチ・アマテラス・ホムスビ・イチキシマヒメ・八幡大神・菅原大神・オクツヒメ・カグツチ・カキヤマヒコ・スサノヲアメノコヤネ・仁徳天皇の15座、一説ではタケミナカタとヤサカイリヒメ--大阪府全志(1922)
など諸説があり、定説はない。
 このうち④⑤の2説は、江戸期に変更された住吉三神、および明治以降に境内社として祀られた諸神を加えたもので、住吉三神以前の祭神については記していない。

 ③の“当村産土神”に関連して、新撰姓氏禄に
 「左京諸蕃(百済) 調連  百済国努理使主(ヌリノミ)之後也 応神天皇御代帰化。孫阿久太(アクタorアクト)男弥和、次麻利弥和。顕宗天皇御代、蚕織献絁絹之様、賜調首姓」
との記事がある。
 百済からの渡来人・ヌリノミについて、仁徳記(イワノヒメ皇后嫉妬の条)
 「ヌリノミが飼っている虫は、一生の内に三度姿を替える奇しき虫(蚕)で、・・・」
と、養蚕を業としていたとある。
 また大阪府史蹟名勝記念物(1931)には、
 「この地(阿久刀社鎮座地附近)の北に位置する服部村に、允恭天皇の御代に全国の織部を統括した麻羅宿禰を祀る神服神社(別項・神服神社参照)があり、この辺りは織物の里であった。同じ養蚕機織りの技術を持つ調連の長・阿久太が、この地に住して養蚕織物の業に従事し、顕宗天皇に絹織物を献じ調首の姓を賜った。当社は、その子孫が祖神・阿久太を祀ったものとみられる」
とある。
 これらのことからみて、当社本来の祭神は、養蚕機織に携わった渡来系氏族・調連の祖・ヌリノミあるいはアクタであろう。

 ただ当社由緒には
 「国つ神を祖とするニギハヤヒの子孫・阿刀(アト)連がこの地にあり、飛鳥天平時代に阿刀連の氏神として住吉の社を建立・・・」
と記しているが、この阿刀連とは、同じ新撰姓氏禄に
 「摂津国神別(天神) 阿刀連 神饒速日命之後也」
とある氏族で、この記事からみると物部系の氏族とみられる。
 この“阿刀”が“阿久刀”と同じとすれば、当社は阿刀連の始祖を奉斎した神社と思われるが、調連との関係は不明。


※鎮座由緒
 当社の創建年代など不詳。その後の経緯についても、大阪府全志に
 「永禄年中(1558--70)三好・松永の兵火に罹りて烏有に帰し、その後再建せしもの今の社殿是なり」
とあるだけで詳細不明。

 なお当社の北約1.3kmに、全国の機織部を統括したとされる服部連の氏神社・神服神社があり、古く、この辺りには養蚕機織に関係する氏族が集まっていたらしい。両社は、古来から祭礼時の神輿渡御を取り交わしていたというが、今は途絶えている。

※末社・境内社
 社殿右手に末社・稲荷社と境内社6社が並んでいる。
*末社--稲荷社--豊受大神(伊勢下宮の神)
*境内社--明治5年神社整理(神仏分離)に際して各字より移したもので(神社由緒)、各社覆屋の中に古い祠が鎮座している。
 太将軍社-字柳原より--タケミカヅチ命
 五社神社-字前の内より--アマテラス・ホムスヒ・イチキシマヒメ・八幡大神・菅原大神
 諏訪神社-字殿の内より--タケミナカタ神
 小島神社-字西之内より--イチキシマヒメ
 五社神社-字清福寺より--アマテラス・スサノヲ・アメノコヤネ・八幡大神・仁徳天皇
 大将軍社-字清福寺より--タケミカヅチ命

阿久刀神社/境内社1
左から、大将軍社・五社社・稲荷社・小島社
阿久刀神社/境内社2
左から、諏訪社・五社社・太将軍社

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