トップページへ戻る

簑 島 神 社
滋賀県高島市安曇川町三尾里
祭神--大山積命
                                                            2017.04.16参詣

 延喜式神名帳に、『近江国高嶋郡 簑島神社』とある式内社。
 社名・簑島は“ミシマ”と読む。

 JR湖西線・安曇川駅の南約400m、駅西へ出てすぐの交差点を左折(南へ)、少し南行した道路の左側(東)にある社叢の中に鎮座する。

※由緒
 境内に案内等なく詳細不明。
 神社明細帳に
  「創立年月日不詳。
 鎮座の由来並に鎮座後の由緒等確証の記録は寛文年中(1663--73)村内火災のため焼失に付詳ならなかざれども、国史所載の古社にして高島郡三十六座の内簑島神社とありて、延喜式神名帳に今三尾里村にありと記しあり。
 文徳実録第三仁寿元年(851)正月庚午詔 天下諸神有位無位を論ぜず正六位上云々とあり。
 当社元御嶋大明神と記し(神像天文三年-1530甲辰十一月十七日彫刻)、或は簑島大明神と称す(社宝御太刀彫刻)、明治初年簑島神社と改称す」

 その他資料としては、
*近江輿地志略(1734)
  「三島神社 三尾里村にあり。土俗曰 祭る所の神伊豆国三島大明神也と。臣按ずるに、延喜式神名帳に所謂簑島大明神是也。簑島三島の訓相似ためを以て後世誤るならん」
*神社覈録(1870)
  「簑島は美志麻(ミシマ)と訓べし。祭神大山積命。三尾里村に存す。今三島明神と称す。
 輿地志略に云、土俗祭る所伊豆国三島大明神なると、按ずるに、簑島神社是也、簑島三島の訓相似たるを以て後世誤るならんかと。尤も然るべし」
*高島郡誌(1927)
  「村社 安曇村大字三尾里に鎮座す。三尾里の氏神なり。 祭神大山積命、元三島神社と称す。
   輿地志略に式内簑島神社とす。明治に至りて簑島神社と改む」
などがあるが、明細帳がいう村内火災のためか詳細は不明。

 明細帳にいう“文徳実録(879)仁寿元年正月云々”とは同条に
   庚子 詔『天下諸神 不論有位無位 叙正六位上』
即ち、有位無位を問わず諸国の神々に正六位上の神階を与えたとあり、その諸神の中に当社も入っていると認識していたことを示し、とすれば、当社は9世紀には実在していたことになるが、確証はない。

 ただ、当社が延喜式神名帳(927)に列なる神社であることから、10世紀初頭に実在したのは確かだが、他に神階綬叙記録等公的記録なく、創建時期が何時まで遡れるかは不明。

※祭神
   大山積命(オオヤマツミ、大山祇・大山津見とも記す)

 大山積命は一義的には山の神だが、山の神は水の神でもある。
 高島平野南半中央部に鎮座する当社が、山の神・大山積命を奉祀する由緒は不明。 
 明治以前の当社は“三島神社・三島大明神”と称していたという。
 通常、三島大明神とは、伊豆国賀茂郡に坐した式内・三島神社(現静岡県三島郡三島大社)の祭神(大山祇命・事代主命)を指すが、これを当社に祀るというのは、当社社名簑島をミシマと読むことから簑島=三島として、三島大社の祭神:大山祇命を当社祭神と儀したしたものと思われる。
 ただ、当社と三島大社との関係はみえずは、三嶋大社の祭神としての大山積命を祀る理由はない。

 なお、当社祭神を大山祇命・事代主命二座とする資料(滋賀県市町村沿革史)もあるが、これも当社を三島大社に結びつけてのことであろう。

 また、当社祭神を天神玉命(アメノカムタマ)とする説がある。
 天神玉命とは記紀にはみえない神だが、神名帳考なる古文書(時期不明)に、
  「簑島神社 天神玉命 旧事紀云 天神玉命三島県主等祖」
とあり、先代旧事本紀(天神本紀)には、
 ・天神本紀--饒速日命に従って天降った32柱の神々の中に、「天神玉命 三島県主等の祖」
 ・神代本紀--「神皇産霊尊の子 天神玉命 葛野鴨県主の祖」
とある。

 この二つの系譜からみると、三島氏とは鴨氏と同族かと思われ、とすれば、当社の南を流れる鴨川一帯が賀茂社の社領であったことからみて(平安前期以降らしい)、賀茂社領に関わった三島氏がその祖、天神玉命を祀ったとみることもできるが、確証はない。

 これらからみて、当社祭神、大山祇命説・天神玉命説のいずれも確たる根拠はなく、あえていえば、在地の人々が山の神・大山祇命を生命保持・豊穣の神即ち水神として祀ったのが始まりで、それに鴨氏の祖・天神玉命か重なったとみるのが妥当かもしれない。


※社殿等
 民家にはさまれて立つ鳥居を入り、参道を進んだ境内中央に祭殿(入母屋造)が、その奥、少し離れて唐破風付神門を有する本殿域があり、その中に本殿が鎮座する。
 本殿は正面を除く3面が板壁に囲まれていて、造りの詳細は実見不能だが、向拝付の三間社流造らしい。

 
簑島神社・社叢
 
同・鳥居

同・本殿 
 
同・本殿域正面

同・本殿
 
同・本殿正面

 境内には、略同形の覆屋2宇の中に境内社(小祠)が鎮座するが、社名・祭神等の表示はない。

     

トップページへ戻る